国際展示「台湾と日本―震災史とともにたどる近現代―」を開催中

展示開催での記者会見の様子
左から:謝長延(台北駐日経済文化代表)、久留島浩(国立歴史民俗博物館館長)、王長華(国立台湾歴史博物館館長)、邱君妮(通訳)、荒川章二(国立歴史民俗博物館教授)

総合資料学の一環として、国際展示「台湾と日本―震災史とともにたどる近現代―」を開催しました(開催期間:2017年1月11日(水)~ 2月19日(日)、会場:国立歴史民俗博物館 企画展示室B)。

総合資料学は、人文系と理系が協同しながら、歴史資料に様々な分野から新たな視点を与え、深くほりさげた研究を進めながら、さらにその成果を広く市民に公開するだけでなく、大学教育に反映させることを目的としています。

今回の国際展示の背景について、国立歴史民俗博物館(以下、歴博)と国立台湾歴史博物館では2014年7月に学術研究交流協定が締結されました。協定事業の1つとして、国際企画展示「歴史のなかの震災」が提案され、2015年11月には両館の間で「展示協力協定書」が締結されました。その上で企画した国際展示です。

具体的な内容については、歴博のホームページをみていただきたいのですが、この国際展示のどこが総合資料学と密接に関係しているのか紹介してみたいと思います。

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それは人文系と理系のさまざまな分野の台湾や日本の研究者が協力することで、これまでにない資料の見方や歴史に関する新たな視点が生まれたということです。その一つが現在の台湾と日本という枠組みを取り払ったということです。

例えば地震を発生させるメカニズムを例にとると、この10年をみても、台湾で地震が発生すれば、日本でも同じ時期に地震が発生しています。これまで、それを互いに日本と台湾という境界で区切って、互いに他人事のふりをしていたのですが、実は同じ海溝帯・地溝帯の上に位置している一蓮托生といってもいい地域だったのです。

そして地震は歴史的に日本の台湾領有と深く関係しているという視点と、台湾は実は多様な人びとによって構成されており、地震の復興と自らの文化の復興過程に焦点をあてながら展示は展開していきます。

是非、歴博に来館し、展示をみていただければと思います。

国立台湾歴史博物館での資料調査風景

展示場での展示準備風景