2016年6月5日、総合資料学のワークショップ2が開催されました。
このワークショップ2では、博物館資料をさまざまな学問分野による多様な視点から研究を進めるための、方法の開発と共有化をめざします。初回となるこの回では、ワークショップ2の館内担当者が、これまで手がけてきた歴史資料研究の具体例を紹介しつつ、それを「総合資料学」に高めていくための展望と課題について報告しました。
報告の後、館蔵資料である「聆涛閣集古帖(れいとうかくしゅうこちょう)」を熟覧し、意見交換を行いました。「聆涛閣集古帖」は、江戸時代後期から明治初年にかけて編纂された古物類聚の模写図録で、歴史学、考古学、美術史、民俗学、文化財科学など、さまざまな視点から研究を進めることができる可能性を秘めた資料です。一つの資料からいかに多くの情報を引き出し、それらを有機的に結びつけていくかが、総合資料学のめざす研究スタイルといえるでしょう。
日時:6月5日(日)13:30~17:00
会場:国立歴史民俗博物館
内容:
13:30~15:00:第一会議室
1)趣旨説明「総合資料学・ワークショップ2の方向性について」
報告者:三上喜孝(国立歴史民俗博物館)
2)報告「総合資料学の可能性」
報告者:小倉慈司(国立歴史民俗博物館)
15:00~15:15 休憩・移動
15:15~16:30 :第一調査室
3)館蔵資料の熟覧「聆涛閣集古帖」
16:30~16:40 休憩・移動
16:40~17:00:第一会議室
4)意見交換
17:00 終了
「聆涛閣集古帖」の熟覧の後の意見交換では、資料そのものの基礎研究や類似の資料との比較研究の必要性、そしてそれらの研究成果を反映させたデータベース構築の重要性などが確認されました。これらの研究を通じて、従来の「博物学」を超えた「総合資料学」の構築をめざしていくつもりです。