2020年8月7日 第1回人文情報ユニット研究会を開催

2020年8月7日(金)、本館第一会議室にて、入念な感染対策の上、今年度第1回の人文情報ユニット研究会を開催しました。今回はZoomによるリモート参加も含むハイブリッドでの開催となりました。

今回の研究会テーマは「人文系クラウドソーシングの受容と展開及びその課題」です。クラウドソーシングやシチズンサイエンスの手法を駆使したデータ構築やデータ処理は近年急速に進展しつつあり、特に自然科学の分野では大きな成果を挙げています。歴史学を含む人文学の分野においても「みんなで翻刻」などクラウドソーシングの動きが加速しつつあります。この動きは、資料の情報がオープンデータで公開され、広く使われるようになってきた部分が大きく、今後もデータ構築や、大量データの処理、知識の伝達において大きな役割を果たすと考えられます。

一方で、こうしたプロジェクトに参加するための適切な前提知識をいかに得るか、(必ずしも正確ではない)クラウドソーシングの成果物を利用するためのリテラシーをいかに涵養するか、といった問題も課題として浮かび上がりつつあることも事実です.こうした問題を、オープンデータ・科学コミュニケーション事例をもとに、また、すでに多くの実績のあるWikipedia・Wikipediaタウンの例を元に検討することが本研究会の趣旨でした。

当日は、オープンサイエンスに関わる活動に長年携わってきた東京大学の一方井氏、Wikipediaの元管理人である日下氏、また東久留米市立図書館でWikipediaタウンイベントの開催を進めてきた岡野氏から、それぞれのフィールドにおける市民との協働とそれにともなうさまざまな課題点が報告されました。

総合討論では、「みんなで翻刻」など学術における市民協働プロジェクトと、Wikipediaのような自治的性質を持った参加型プロジェクトとの相違点が議論されました。シチズンサイエンスとWikipediaについて双方の立場から議論する機会は意外に少なく、その意味でも意義深い研究会となりました。

【日時】
2020年8月7日(金)13:30〜17:00
【場所】
国立歴史民俗博物館第一会議室(Zoomを利用したハイブリッド開催)
【プログラム】
開会挨拶(後藤真)
趣旨説明(橋本雄太)
一方井祐子(東京大学)「クラウドソーシングと科学技術コミュニケーション」
日下九八(Wikipedia元管理人)「Wikipediaにおける記述の考え方と受容」
岡野知子(東久留米市立図書館)「東久留米市におけるWikipediaタウンの実践」
総合討論

岡野氏による報告
一方井氏(リモート参加)による報告