岩手県奥州市との地域歴史文化資料に関する連携事業

新型コロナウイルス蔓延状況の中、相当に活動が制限されてしまっておりますが、安全に配慮して、可能なことを進めています。
岩手県奥州市教育委員会とは、2020年3月に連携の覚書を取り交わし(合同会社AMANEとの三者)、地域歴史資料の保全と活用のための取り組みを進めています。不特定多数の人と会わない、会食を行わない、距離の確保、アルコールによる消毒の徹底等を行った上で、現地での資料の所在調査を複数回実施いたしました。

まず、6月下旬に下調査を実施。公有資料を中心に、どのような資料があり、全体把握のためにはどのようなことが必要なのかの確認を実施しました。

民具の状況確認
民具の状況確認

その後、8月初旬に3日間かけて、三者により、資料群ごとの点数把握調査を実施しました。これにより、資料が現在どこに概ねどのぐらいあり、どのような状況下にあるのかを把握することができました。奥州市としては、今後これらの目録化を進めていく方針と伺っています。メタ資料学研究センターは、これらの目録のデータ化・公開可能部分の公開などを協力しつつ実施していきます。これにより、地域の人々に手に届く資料とするとともに、国際的にも日本の地域の資料を発信することができます。また、万一の災害時にはこれらの情報をもとに、レスキュー作業等も行っていくことになります。

資料点数の把握と状況の調査
資料点数の把握と状況の調査

これらの保全活動とともに、イベントも実施しています。7月に実施した学術野営は、残念ながらオンラインでの実施となり、地域の人々に広く展開することが困難な状況となってしまいましたが、資料を長期的に長く継承していくための課題整理を行うことができました。今後、この成果を奥州市の地域の皆様にお伝えしていくことも検討しています。

学術野営オンライン実施の様子 歴博はスペースを確保し、三つの「座」を館内で並行配信しました

10月下旬には、追加調査も行いました。8月に確認しきれなかったものに加え、新たに適切な措置を講ずべきかどうか検討する資料などの実地確認と、資料の状態調査を実施しました。これらの資料についても、今後、目録化等の対象とすべきかどうかなと、検討を行ってまいります。

奥州市内における現代資料

奥州市教育委員会とは、三者覚書の枠組みのもと、今後資料のデータ公開、資料の保全、活用に関するイベント等の実施を通じ、地域における歴史や文化の理解とその継承の活動を進めてまいります。このような取り組みを通じ、広く地域における歴史資料の総合的な保全活動を進めていきます。