CIDOC CRM 日本語訳プロジェクトの始動

 CIDOC CRMとは、国際博物館会議(ICOM)国際ドキュメンテーション委員会(CIDOC)の概念参照モデル(Conceptual Reference Model)です。博物館資料や文化財の収集、管理・保存、調査・分析などの活動において必要となる情報について記述・蓄積し、検索可能なデータベースを構築するために制定されたオブジェクト指向型のモデルです。CIDOC CRM Special Interest Group (SIG)により制定された後、改正・更新を重ね、現在、version 7.1 がISO取得の最新版として公開されています。

 総合資料学では、これまでもCIDOC CRMを用いた研究を行ってきており、CIDOC Conference 2020で研究発表も行いました。それをきっかけに、2021年3月8〜11日にオンライン開催されたCIDOC CRM SIGの集会にも初めて参加し、CIDOC CRMについてさらに知見を広めるとともに、総合資料学やkhirin、CIDOC CRMを用いた研究について紹介しました。

 この集会において、CIDOC CRMの多言語化に向け、翻訳のためのプロトコルやガイドラインを制定することの必要性が指摘され、関心を持つメンバーが集まってTranslation Working Group (WG)として議論を始めることとなりました。そのWGの第一回集会が2021年5月12日(水)にオンラインで開かれ、総合資料学プロジェクトから川邊咲子プロジェクト研究員が出席しました。

 日本語訳についても、総合資料学のメンバーや関わりのある研究者の間で有志のプロジェクトグループを作り4月末頃から翻訳のための活動を始めております。今後、定期的に会合を持ち翻訳作業を進めつつ、Translation WG へも引き続き参加し、多言語化によるCIDOC CRMの更なる実用化と発展に貢献できればと考えております。